のん

黄金のアデーレ 名画の帰還ののんのレビュー・感想・評価

3.2
戦時中に不当に奪われた個人の美術品を取り戻すべく奮闘するドラマ。その美術品がオーストリアの至宝とされる「黄金のアデーレ」。アデーレの実の姪であるマリアと若き弁護士、そしてオーストリア政府の静かで長い闘い。

なぜか美術館側(オーストリア側)の目で見てしまい、マリア側の気持ちに入っていけなかった。ので、ちょっと捻くれた感想になっているかも。

宝を守りたいから彼女の意見を突っぱね、強気に権利を主張する。何十年も国の宝としていたものに愛がないわけがない。なのでラストのマリアとオーストリア側の会話はマリアが冷たいなぁと感じてしまった。誇りとか尊いものよりも個人の意地のように見えたというか。
また長い長い闘いであったのだと思うけど、その長さを感じにくい構成だったので、裁判もあっさりした印象でそこは残念。え、すぐ最高裁なの?みたいな(ここはアメリカの司法の流れがよく分からないだけだけど)

あとはオーストリアでの協力者がどういうつもりなのかずっと気になって仕方なかった。後半の彼の言い分を聞いても彼をそこまで駆り立てる気持ちがよく分からなかった。それは良い悪いではなくて、戦争に関して国それぞれが持っているとてもデリケートな部分なのだろうなと感じる。

戦争の残した複雑な想いが交錯する作品なので、過去に目を向けるということを意識する作品だと思った。

2015-162
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