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黄金のアデーレ 名画の帰還のruiのレビュー・感想・評価

3.3
グスタフ・クリムトは好きな画家のひとりだ。

クリムトの名画「黄金のアデーレ」を巡る物語は、その歴史的な負の背景の悲惨さを同時に浮き彫りにさせる。

画家志望の青年として有名なヒトラーは美術への理解は深く、それが故に侵略や迫害の際に数々の美術品を持ち出した。
非人道的なナチスの行いは、故郷、家族、思い出をも引き裂き「黄金のアデーレ」は所有者の元を去っていった…。


さて、映画のことから逸脱してしまうが、
クリムトといえば、金の色彩。
ルーツを辿れば日本の江戸時代に活躍した尾形光琳、「琳派」の金屏風への傾倒に辿り着く。
個人的に「燕子花図」は最も好きな光琳の作品。現在のテキスタイルのようなものの面影がある。
クリムトの絵が日本人の琴線に触れるのは琳派を肌のどこかで感じるからだろうと思う。

そんなクリムトの名画を巡る物語を日本人の視点で見ると、また違った見方ができたりするのかもしれない。
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