カタパルトスープレックス

ピクニックのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

ピクニック(1936年製作の映画)
4.0
一般的に「ルノワール」といえば印象派の画家ですが、映画好きにとってはその息子のジャン・ルノワールなのです。本作はルノワールがアメリカ亡命中に「未完成作品」として公開された40分ほどの中編です。モーパッサンの短編小説『野あそび』が原作。

元々が短編小説なので、作品としてはほぼ完成していたのではないかと想像できます。むしろ、後から付け足された字幕が蛇足だと思います。余計な説明などいらない。

ジャン・ルノワール監督作品って暗いテーマなのだけれど、最後には希望がある。明るい話ではないのだけれど、とても明るい絵で魅せる。ああ、まさに印象派の絵画みたいな作品が多いですよね。この小品はルノワールの特徴がコンパクトにまとまっています。

ジャン・ルノワール作品の中でオススメしやすい作品でもあります。ジャン・ルノワール監督作品の主人公は現代の日本人とはちょっと違う倫理観の持ち主が多く、ストーリーの中に入りにくい……ことが多いと思います。この作品では登場人物たちの気持ちがよくわかる。共感できるんです。尺も短いし、ルノワールの特徴がよく出ているので、まずはこの作品から入るといいかも。