ピクニックの作品情報・感想・評価

「ピクニック」に投稿された感想・評価

SN

SNの感想・評価

4.7
ひどく暑い夏の日、ドュフュール一家はパリを抜け出し、ブゾン(Bezons、パリ近郊Nanterreの北に位置する。だが、実際の撮影が行われたのはLe Loingというパリから100キロほど南に離れた田舎町である。そもそも、セーヌ川がこんなに穏やかで、川幅が短いわけはない。作中でも青年がFleuve ではなく Rivièreと言ってるように、これがセーヌ川でないことは明らか。そして、何よりもこの場所はピエールオーギュストがこよなく愛したところでもある)に涼を求めてきた。
ドュフュール氏は、妻と義母、娘と彼の下で働く青年アナトールを連れだって、セーヌのほとりにあるオーベルジュ(レストラン付きのホテル)に立ち寄る。草上での昼食を準備していると、二人のボート漕ぎの青年が話しかけにやってくる。
暑さとワインの酔いが手伝ってか、ドュフュール夫人と娘のアンリエットは、それぞれ青年に導かれてボートで沖に出ることになる。ボートが岸を離れた途端に、だんだんと雲行きが怪しくなっていき、嵐の予感が漂ってくる…。

どこまでも長閑で美しい田舎の光景を目の前にしても、その裏で刻一刻と迫りくる嵐の予感のようなものを感じずにはいられない。

重力を感じさせない、あの有名なブランコのシーンも、どこか示唆的。ブランコにまたがるバタイユの妻の無垢さも、それを眺める粗野な田舎の青年も、あのロココの傑作、フラゴナールの『ブランコ』を想起させずにはいられない。華やかな衣装に身を包んだ少女が、美しい自然の中で靴を飛ばしながらブランコを漕ぐ姿。後ろから夫がブランコを押し、そして下から捲き上るスカートを仰ぎ見るように佇む不倫相手。天使の彫像は口元にそっと人差し指を立て、この関係が許されるものではないと教えてくれる。

そして、くだんの少女の頬をつたう涙によって空からは大粒の雨が降り出し、あんなに穏やかだった川面に激しい波紋をもたらす。

時は流れ、アナトールと結婚をした主人公は、再びブゾンの地を訪れる。華やかな格好をしていた少女は、もはや喪服のような暗い出で立ちである。その結婚が彼女の望んでいたものではないかのように。
そして、あの時と同じ場所で、ボート漕ぎの青年と偶然再会する。一言二言、言葉をかわす二人。呟くようにして彼女の口から囁かれる「毎晩のように、あの時のことを考えているの」という言葉が、ただならぬ関係であることを暗示する。藪の陰から、こだまのように虚しく響き渡るアナトールの「アンリエット!」という叫び。そして物語は幕を閉じる。

ルノワールの人間や現実を美化せずにただ直視する態度。そして、なによりも全く古びることのないセンス。天才とは彼のことを言う。

神学生に扮したバタイユ(夫、思想家)がベッケル(映画監督)、アンリ・カルティエ=ブレッソン(写真家)を引き連れて、ワンカットだけ横切るシーンの豪華さには驚かされる。
え君

え君の感想・評価

4.0
わずか30分の作品だが、全ての登場人物のキャラを描き分けている。細部の演出も見事。話はベタな悲恋でも見ごたえのある一本。

扉を開けるシーンの解放感。
自宅浪人していると色々と誘惑が凄く、自分はそれらに打ち勝つべく奮闘せねばならないのですが、短いからいいだろうみたいな理由であっさりと観てしまった。
感想としては、簡潔だが確実に要点を捉えている。といったところ。枝葉末節的な部分はほとんど切り落とされている。見せない事、語らない事によって、ラストの劇的な演出がかえってより一層引き立てられている。実に劇的な作品。
小品だが、凄まじく爆発的。
物語が本来持っていた複雑さや繊細さを損なわずに本当に大事な部分だけを残して捨象すること。これがルノワールのやりたかった事でしょう。未完に終わり、その後も不遇な運命に見舞われた作品であるとはいえ、実によく出来ていると思う。
光と影の瑞々しさ、繊細さ、微妙で偶然的な重なり合いを丁寧にフィルムに織り込むことで質感や情緒を浮き出させていくその感性は父ルノワールから譲り受けたものに違いない。一つ一つの映像が、思わず溜息を漏らしてしまうほど美しいのである。
ブランコのシーンでふわってなった。コメディとシリアスの間に根本的なコントラストがあってテーマに効いてる気がした。
まさにルノワールの印象派絵画といった感じで芸術的。長閑な陽光の下ピクニックに興じる裕福な一家と、年頃の娘に何とか近づこうとする地元青年2人組。ボートで川下りに繰り出すものの、やがて天気は下り坂。未完成というが、短い中に笑いあり意外な展開あり、苦い結末まで計算された起承転結に思える。ブランコで行き来する乙女の輝く笑顔、それを眺める額縁のような窓辺、雲行き怪しい空、強い風に揺れる草木、水面の雨粒。自然描写の撮影や構図が素晴らしく、田舎とパリの対比や伏線を張った脚本も面白い。但し、ストーリーは割と下衆かった。何だかんだ言ってお前もかよ!娘が若さと自由を謳歌したのも束の間…これを永遠に美しい思い出とするのは残酷すぎるではないか。
Akiramovie

Akiramovieの感想・評価

4.0
美術館ホールで。
未完の短編映画なのに、絵画みたいに 観るものに考えさせる。

フランス人は よく喋る民族だとは 改めて 伝統的ね!
デジタルリマスター版を早稲田松竹にて鑑賞。

この映画は、ブレッソン監督作品『やさしい女』の併映作だったので観たが、デジタルリマスター版とはいえ未完の作品であり、物語面での中途半端感は否めない。しかし、映像が見事。

アンリエットなる娘が野外のブランコで立ち乗りするシーンを上手く撮ったカメラは、躍動感があり、素晴らしかった。

また、風に揺れる草の波、水面のさざなみ、空と雲を描いたシーンも美しかった。

芸術である。
弟

弟の感想・評価

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大傑作。助監督にジャック・ベッケル、アンリ・カルティエ=ブレッソン、ルキノ・ヴィスコンティって書いてあったけどバグってるね。主演のシルヴィア・バタイユが美人過ぎてバタイユこんな美人と結婚してたのかと気が狂った。
tomo

tomoの感想・評価

3.8
ブランコに乗る娘のシーンになるときに扉が開いた時に華やかな音楽が流れたのが印象的だった。
字幕なしの原語で見たので細かいセリフはわからなかったが、ブランコとボートのシーンはやはり素晴らしい。日差しの操作も絶妙。窓を開けたらブランコが見えるとこなんかも、一枚の絵のような美しさだ。そうかと思えば、カメラ目線の目アップのような鮮烈なショットもある。
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