ヒロタケ

教授のおかしな妄想殺人のヒロタケのネタバレレビュー・内容・結末

教授のおかしな妄想殺人(2015年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

この映画を一言で言えば、「インテリの実存的な悩みも、若者の凡庸な悩みも、所詮同じこと。くだらない。」と言うことか。

エイブはインテリで地位も高いが、生きる意味を見いだせず鬱状態。そして持ち前の理屈で、世の中を否定的に見る厭世的な男。偶然耳にした不条理に意味を見いだし、意味を埋めるという自己都合で殺人を犯し、あげく、通報されたくないのでジルを殺そうとする。

ジルはそんなエイブをロマンチストと評すが、本当にロマンチストなのはジル自身。退屈で無意味な人生に意味を見いだしたくて、厭世的な大人に飛びつき、何も非のない男を捨て、偶然耳にした不条理話に怒り、と思いきや次は、エイブが犯した殺人を責めて正義感を満たす。そして最後は捨てた男と元の鞘に収まる。
二人ともしょーもない自己中なのだ。

そこを見せつけるために、エイブとジルの独白を交互に入れているのだろう。その独白がどこか自惚れていて、観客に退屈な小説を読んでいるような気持ちにさせるのは、ウディ・アレンの意図だと思った。

しかし、映画自体が退屈な映画になってしまっているのは残念。主人公二人を引いた目で見る存在がいたら、変わっていたのかもな、と思った。
あと、ジルへの毒の方が生き生きしていて鋭いように感じるのは、ウディのミソジニーなのか、俺がミソジニーだからそう見えるのか(笑
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