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リグレッションのzkのレビュー・感想・評価

リグレッション(2015年製作の映画)
3.4
観ると疲れがどっと出るようなモヤモヤ犯罪捜査もの。これが実話ベースという破壊力よ。わたしたちは虚構の世界に生きている。

エマワトソンとイーサンホークが笑うくらい嵌まっている。両者ともこの役のために存在しているのかと思うほどだ。

以下ネタバレ抵触します。

事件捜査ものとして観ると、被害者救済を焦るイーサンが現場捜査の結果を待たずに暴走してしまったせいで警察署やマスコミを巻き込んだ騒動にまで話を大きくさせてしまったという明確な落ち度がある。
本当に血みどろの儀式を行ったのなら埃だらけの現場に痕跡が残らないはずがない。ヘッドホンでエマワトソンの供述に没頭している場合ではない。正直この段階でオチはやや読めてしまう。

だがどんな現実が出てこようと悪魔はいるし悪魔崇拝者もいるのである。全米各所に。
どのような荒唐無稽の虚構でも、皆で信じて共有すればそれは社会のピースとなるのだ。分かり易い例だと通貨がそうだ。わたしたちは虚構の共有の中で生きている。もしその魔法が完全に解けてしまったら、わたしたちは明日食糧が無事に手に入るかを真剣に案じるだろう。
その際に良い虚構、悪い虚構の線引きなど誰にもできないし、取捨選択する能力もわたしたちの社会は有していない。

どんな噂話をわたしたちは信じるのか。それだけで社会は姿を変えるのだ。
最後まで観るとイーサン、ドンマイ。と言いたくなる。
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