滑頭

ラスト・ナイツの滑頭のレビュー・感想・評価

ラスト・ナイツ(2015年製作の映画)
3.7
もーんのすごくハードルを低くして観に行ったのが良かったのか、少なくともその期待は超えてくれました。なんだ、思ってたより全然イイ。
その後の紀里谷監督による話を聞いて、監督自身の好感度も上がったし、作品もぜひ擁護したい、色んな人に観てもらいたいという気持ちにはなったのですが、
心を鬼にして苦言を呈すると、
まずスローモーションの多用。体感では全体の半分くらいスローモーションだったんじゃないかっていうくらいスローモーションが多い。尺引き伸ばしすぎ。スローモーションはここぞ、っていうところで使うから効果的なんだろう。これは効果的でない。
その結果なのかどうなのかは分からないけど、全体的にMVを見せられているような感覚。特に序盤。パッパッと話が進み過ぎて重みがない。本当に、MVっぽい。カメラワークのせいか編集のせいか分からないけど。
それから、アクション映画の割には少ないアクションシーン。アクション映画ならアクションで語るべき。アクションほぼ皆無のドラマパート長すぎ。
冒頭のアクションシーンがあまり有機的に後の物語に絡んでこない。上手くない。
アクション、カット割りすぎ。状況を把握しづらい、見にくい。
伏線の張り方が唐突で不自然。
あとひとつ気になったのは、モーガン・フリーマンが最初に衣を献上したとき、その下に賄賂の金貨がないというのを見せるシーンで、セリフでの説明はなかった。贈り物をしてその下に賄賂を敷き詰めるっていう賄賂の渡し方は時代劇でこそ定番だけど、外国の観客も多いこの映画で、それは世界の観客に伝わるのか?ということ。忠臣蔵から色々改変してるのになぜそこはそのままにしたのか。
とはいえ、いいところもたくさんあったんですよ。特に役者とかロケーションとかによるバキッと決まったビジュアル。これはよく作りこまれていて本当にすごかった。クライヴ・オーウェンはかっこいい。話の本筋はいいんだけど、その周りの細かい演出でそれを際立たせきれていなかったのが惜しいな、っていうような感じでした。

2015/10/29 @試写会
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