試写会にて鑑賞。
『CASSHERN』『GOEMON』の紀里谷和明監督が、ハリウッドデビューを果たしたアクション巨編。『クローサー』などのクライヴ・オーウェン、『ミリオンダラー・ベイビー』などのモーガン・フリーマン、『硫黄島からの手紙』などの伊原剛志ら、国際色豊かなキャストが集結。
ストーリーは日本人ならほとんど知っているだろう忠臣蔵、つまり『赤穂事件』を題材にしているので、展開はいわゆるそのストーリーで、日本でもドラマや映画などで今まで多くの作品があったので、目新しさは感じられないものの、ハリウッド化し、浪人たちを騎士に置き換えることで、より分かりやすく伝えようとしている。
それなのに何か物足りなさを感じる。それはなぜか。恐らく私が思うにそれはバックグラウンドが薄いことにあると感じる。主君バルトーク(モーガン・フリーマン)を失ったライデン(クライヴ・オーウェン)が堕落してく模様を描いたシーンが長々と続き、いくら忠誠を誓った騎士を殺しては反感を生むとはいえ、あれなら殺してもまるで誰も気にしないほどにも感じられるし、そもそも冒頭からバルトークと騎士団たちの信頼関係や国の情勢が映し出されることはなく、忠誠を誓いあう騎士たちの掟があるんだということだけなので、感情移入しにくい。上映時間が割と長いわりに映し出している内容の重さををもっと違うところに注いでいればもっとよくなったように思えてしまう。
ただ、殺陣の魅力とは異なった、騎士たちのアクションシーンは割と楽しめて、終盤の見どころである城に攻め込む一連のシーンは、次々と展開していくので楽しめる。
キャストもそれなりに豪華なメンバーを集めているものの、何か惜しさを感じずにはいられなかった。映像はよかったものの、記憶に残りづらい映画になってしまっているのは残念だった。ハリウッドデビュー作となった紀里谷監督にはさらなる面白さを追求して頑張ってほしい。