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怪物はささやくのyasutakaのレビュー・感想・評価

怪物はささやく(2016年製作の映画)
3.5
人は何故に物語を想像するのか?
大きな所はそんなお話でした。

宗教しかり、人の想像力は恐怖へ対抗するための手段なんだと、
その様に語られているのはとてもすんなりと心に染みる印象。

正直、途中はダレている印象がありましたが、
観終わってみると、とても良い作品だと感じました。


〈以下ネタバレ〉
ネタバレの様になってしまうのですが、
少年の妄想する怪物(イチイの木)は祖母の投影であったのでは無いかと、
少し考えすぎの様にも思いましたが考えました。

自分の母親のスケッチブックをめくり、そこには
彼女もまた、幼い頃に怪物によって物語を通して世界の本質を学んだ事が
告白されています。

少年もまた、物語を通して恐怖を我がものにする事を理解します。

物語は、飲み難い真実を包むオブラート(優しさ)の様な存在であると、
この作品では二つの物語の存在性を語っている様に感じました。

画面では、その物語を語るのがイチイの木の怪物の役割でしたが、
恐らく、この妄想は決して荒唐無稽な物ではなく、母と子、二人の
近くに居る存在。
祖母の投影であったのではと考えてしまうのです。

そう思うと、それとなく表情も重なる所がある様にも思えます。

シガニー・ウィーバーが実はこの物語の裏の主人公であった。
その様に思いました。
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