一筆が残る絵画などと違って、必ず死にゆく音をモチーフにし、うまくなぞらえていると思った。
失くしながら(亡くしながら)も、彼女の酷く落ち込んだり嘆くといった感情の昂りはなく、スクリーンのこちら側、観る側に淡い違和を感じさせる。
テンポが進む後半にはすでに不気味さすら思わせるが、そんな置き去りにされた観る側を、最後の最後のシーンでしっかりと捉える。
音が鳴り消えるように、現実も起こっては消えていく、そのように場面場面を動かしながら、音の日記で記すように、消えゆく音(現実の瞬間)はしっかりと彼女の中に残っていく。
そんな雪のように積もり重なっていったゆえのラスト。とても良い作品でした。
余談で蛇足ですが
太陽よ真面目にやれというようなセリフは、どうしても福島泰樹と被ってしまう。
もっと電車よ真面目に走れー