久しくスクリーンで見たいと思っていた本作ですが、3月にフィルムセンターのアジア映画特集で見ることができました。

とにかく豪華な作品です。

監督マニ・ラトナム、撮影サントーシュ・シヴァンは日本では人気のある組み合わせですが、役者陣も男性は南インドの演技派俳優目白押し。その上アーイシュワーリヤのデビュー作です。若い頃のタッブー、レーヴァティも出てますね。

何も知らずに見ていると南インドの政界と芸能界をバックに繰り広げられる権力闘争と恋模様の豪華さと切なさにしみじみと浸りきれる良い作品なんですが、これが実話を下敷きにしているというから驚き。
現実はこの映画よりもっとドロドロしているそうです。

お芝居としては女性たちの悲しみよりも主人公二人（政界に進出し成功した詩人と人気俳優）の友情と権力闘争と党首役のナーセルさんの怪演に目を奪われますが、女性陣ではアーイシュワリヤが嫌味なくはまっています。（他の映画では私はこの女優さん苦手です）

聞けばセリフは吹き替えであるということで、その辺が功を奏したのでしょうか。踊りもうまいんだけれどドヤ顔で踊るほど上手くないし堅いからうっとうしいと日頃は感じるのですが、大学出の新人女優というこの映画の設定には欠点がむしろ綺麗にはまります。

アイシュワリヤーはデビュー作がベストと言っていいかも？

逆に演技派のタッブーとかレーヴァティーは地味な役で損してるなあ。

話が複雑なので、「とにかく面白いから見てください」としか言いようのない映画です。

ところで、インドでは結婚制度に第二夫人というのがあるのね。イスラム圏だけじゃなかったんだというのが目からウロコでした。公式の席では法的な妻と愛人とその子供が席を連ねるし、主人公二人とも妻にも愛人にも誠実なんですよね。社会的な常識が違うんでしょうね。

愛人じゃなくて第二夫人にしないのなら別れます、というヒロインのプライドの守り方も新鮮でした。

（政界・芸能界内幕物にしてアイシュワリヤーのデビュー作 2015/7/9)

Filmarksのキャストのリストを見たら、プラカーシュ・ラージさんとモハンラールさんの共演ですね。ラル様はわかったけど、プラカーシュ・ラージさんはとてもクールで今とちょっと違う雰囲気だったように思います。
モハンラールさんはなんか可愛げがあるので、ファンの方は必見！