かさい

リリーのすべてのかさいのネタバレレビュー・内容・結末

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

風景画しか描かない夫アイナーと人物画しか描かない妻ゲルダ。
女装を始めるとアイナーは絵を描かなくなる。対してゲルダは女体のアイナーの人物画を描くようになる。絵に郷愁や理想を描いたアイナーと、絵に幸せな夫を描いたゲルダの対比がおもしろい。2人が絵に求めるものは違えど、絵を通して2人は繋がっていた。
アイナーが絵を描なくなると2人の関係性は崩れる。2人を繋いでいた絵が失われ、(アイナーの性別が変わったことで)夫婦という繋がりを失ってもなお、2人は共にあり続ける。2人の繋がりをことごとく失っても、なお2人を結ぶものをなんと呼べばいいのだろうか。
「The Danish Girl」という原題は妙を得ている。夢を叶えて女性になったアイナーを指すのか、それとも妻としてあり続けたゲルダを指すのか。Girlと単数系となっているので2人ともではないだろう。個人的には、キャンパスに描かれたリリーを第3の可能性として推奨したい。
かさい

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