リリーが成し遂げたことはなんだったんだろう
女になれたけれど女として何も出来ないまま目を閉じるとき、あれだけ嬉しそうに、幸せそうな顔をしたリリー。
切なすぎる。
それに輪をかけて超絶切ないのが、自分だって苦しくて今にも崩れ落ちそうなのに、
アイナーはもう「大丈夫だよ、全部うまくいくよ」と抱きしめてくれないのに、
リリーの中にアイナーの面影を期待してしまうのに、
それでもリリーを受け入れようと、そばに寄り添い続ける妻ゲルダ。
映画序盤では、繊細な夫と大胆で自由奔放な妻という関係性がみてとれたけど、ゲルダがそういう風に自信に満ちて、溌剌としていたのは、アイナーがくれる愛と安心感があったからであって、
それが失われゆく中、グラグラしながらも自分の足ですっくと踏ん張るゲルダときたら……涙腺崩壊。
ゲルダはあの後もう一度女性として幸せになれただろうか。
イケメン ハンスのような人物が、「もう大丈夫だよ」と、ゲルダを優しく包みこんでくれたことをそっと願いながら、映画館を後にしました。
