冬眠くまちゃん

リリーのすべての冬眠くまちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

リリーのすべて(2015年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

ずっと感想が書けずにいた。最初から最後まで静かな話だったのに、ものすごく衝撃的だった。

私は、ゲルダみたいに愛せるのかな、とか考えて、泣けてきた。ゲルダが格好良くて、でも健気で痛々しくて、苦しかった。愛する人がいるのにいないだなんて、残酷すぎる。自分がリリーを見つけてしまってから、夫がいなくなってしまっただなんて。だからってリリーになって生き生きする夫を止めることはできないし、残酷だ。変わっていく夫の側に最後までいるだなんて、残酷で美しい愛だった。

実体を与えられて、どんどん生き生きとしていくリリーは美しかったし、見ていて嬉しくなった。でも、ゲルダのことを考えると、変わっていくリリーが苦しかった。それでもリリーは女性になることを諦められないだろうし、ゲルダも止められないだろうし、止めたところで二人とも苦しむ末路しか見えないし。本当に残酷な物語だった。

こんなに入り込めたのは、人物とか風景とか衣装とか、完璧で違和感なく感情移入に邪魔してこなかったからかなぁ、とか思ったり。灰色がかった仄暗い世界で、本当に美しかった。

レンタル始まってるし、もう一回覚悟を決めて見たい。

2021.6.21. いつのまにかAmazon primeにもNetflixにもやってきており久々に観たよ!過程を知ってるとよりしんどさが増すね!!!初めて劇場で観た当時とはぜんぜん違う人間関係で生きてるから、ゲルダに自分を重ねたりしないで素直に観れるようになったなぁ……という発見。あと犬こんなに可愛かったの?という発見。