Haruka

リリーのすべてのHarukaのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.2
世界で初めて性別適合手術を受けたデンマークの画家アイナーと彼の妻で同じく画家のゲルダの実話を基にした物語。

結婚6年目にしてアイナーはある事をきっかけに自分の中のリリーという女性の存在を強く感じるようになる…そして彼は様々な葛藤の末、女性として生きる道を選択する。その時、妻のゲルダは…。

ゲルダを演じたアリシア・ヴィキャンデル、助演女優賞おめでとうございます!!
ゲルダの葛藤や何があろうとアイナーを大きな愛で包み込む様子を繊細に逞しく表現していて本当に素晴らしかった。

自分も女性としてゲルダに感情移入しながら観ていて彼女の想いが痛いほど伝わってきて胸が締め付けられ、後半は涙なしには観ていられませんでした。


そしてエディ・レッドメインも素晴らしかったです。指先の動きから目の伏せ方や女性らしい表情、仕草全てが完璧でリリーという1人の女性を完璧に演じきっていました。
女性ものの服などに触れた時に自分の中に押し寄せてくる感情を表情や身体の動きで表現していて表現力が凄い!

胸を強く締め付けられ辛く苦しかったのと同時に2人の愛やリリーの自分らしく生きたい想いと勇気に強く心打たれた作品でした。

今でこそLGBTへの理解がだんだんと深まってきているとはいえ、進んでいると思われているアメリカですらトランスジェンダーに対しての差別は厳しく、一部の州では「Bathroom Bill」という法律があり、出生時と同じ性別の施設を使わないと罰金されたり、身分証明書にも出生時と同じ性別を記載するという法律があるそうです。

今から約80年前のリリーにとって生きにくかった時代に女性として生きる事を選んだ決意の強さと勇気、またそれを一番の理解者として全力で支えたゲルダの姿が美しかったです。
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