あやな

リリーのすべてのあやなのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.3
この完成度の高さで何故この評価の低さ?
前半は見る見られるの眼差し理論の中で、視覚の緊張と快楽がリリーへと変貌を遂げる高揚感と周囲の人々をリリーの世界に巻きこんでいく官能性を映し出す。散々観客に視覚による疑似体験をさせた挙句、結局我々はリリーに共感は疎か、理解さえできない。その理解できなさを受け入れないために、精一杯奥さんに共感してみたりする。哀しいかな、あくまで共感の世界での共通言語は「リリーは誰?」なのだ。簡単に共感を消費するこの現代日本社会が浮き彫りだ。それも含め、リリーは官能的な女として現前するのだろう。
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