世界で初めて性別適合手術を受けたリリー・エルベの人生を元にしたドラマ。
リリーを演じたエディ・レッドメインの表情や細やかな仕草が女性以上に女性らしく素敵だった。特に少しはにかむような控えめな笑顔は印象的でとてもよかった。
という感じに役者はすごく良いのだけど、この作品は「リリー」という人間に対する嫌悪感が半端なくて、観ていてムカムカした。というのもリリーが自分勝手すぎて、妻のゲルダが可哀想すぎる。私はリリーでなくゲルダの物語として観ていたからなおさら。
一途に想ってくれていた夫が変わってしまい、戸惑いながらも彼を彼女として受け入れたゲルダ。ゲルダの深い愛に対して、リリーの愛が描かれていない。「アイナーは死んだ」と語るリリーがとにかく腹立たしかった。
アイナーを殺したリリーが憎くないのか不思議だったけど、受け入れているゲルダにとっては憎しみもあるけどそれ以上に愛があるのかもしれないなと思ったりした。母性なのかなとも。
だけど、やっぱりどうしても良い人すぎて、なんとなくおとぎ話のようというか。もう少し人間的な汚い感情を出してもよかったんじゃないかと思ったのが正直なところ。
と、気になる点ばかり書いたけれど、それは面白かったからこそで、役者もテーマも良く、興味深い映画だったのは確かです。
2016-043