男として男が好きで体が男、男として女が好きで体が男、女として男が好きで体が男……人それぞれ異なる性の形がありますが、リリーはどの視点を持っていたのか。
性別違和と同性愛の違いはそこにあると思いますがそれがよく掴めず、言うなればリリーの心情に寄り添い続けることもできなかった。
リリーはまだ体がアイナーだった時、ゲルダを愛してると言ったじゃない、けれど一回目の手術を終えたとき言った言葉は「(先生のような)男性と結婚したい」「女性のように子供が欲しい」だった。
リリーは、女として女が好きなのか、女として男が好きなのか。
思うに男の体を殺したことで心の男の部分も薄れていったというか、外見が内面に影響を与えているということか、とも。
また、リリーの「君はわたしの面倒をみてくれた、だけどわたしは自分の人生を生きる」との言葉にはちょっと驚きました(ここまではリリーの感じてるものは性別違和だと思っていたので)が、こういう場面に立ち会ったとき常にぐるぐる旋回するのがユリスモールの台詞「愛されたら愛し返さねばならない？」です……(トーマの心臓より)
