風来坊

TAKING CHANCE/戦場のおくりびとの風来坊のレビュー・感想・評価

4.5
事実を元にイラク戦争で戦死した兵士の遺体を遺族へ届ける海兵隊員の姿を描いたヒューマンドラマ。
戦争映画といえば表の部分だけ描いた映画が多い中で後日談というか戦死者がどう故郷に帰って行くかを描いた貴重な映画だと思います。

事実という事もあり、全編に醸し出される悲壮感。
それを丁寧な描写で淡々と物語を進めていくあたりが心に響きます。
道中、名も知らぬ戦死した兵士を自ら送る空港職員たちや先導をするドライバーたちに涙腺が緩みます。

主人公が戦死者の護衛を志願した理由を話し自分を卑下するのを諭す退役軍人のおじいちゃんも格好良かった。
主役のケビン・ベーコンは彼にしては珍しく抑えめの演技が深みと哀しみを感じさせて非常に良い演技でした。

ただやっぱりアメリカ万歳、アメリカ軍万歳的な描写もありその辺にはうーん…という感じもあります。
劇中に戦争が無ければ海兵隊なぞ必要ないって言葉は胸を打ちますよね。
個人的にはこの言葉はアメリカが強引にイラク戦争に介入した皮肉かなと思っています。

映画的には地味なお話しだと思いますが、戦争、平和、家族、色んな事を考えさせてくれた良い映画でした。
風来坊

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