rezawa

軽蔑のrezawaのレビュー・感想・評価

軽蔑(1963年製作の映画)
3.7
脚本で生計を立てる夫ポールと、妻カミーユが主な人物。
ポールは戯曲を書きたい夢がありながらも、妻、部屋、お金のために脚本家として人の言いなりになっている。
他方、カミーユはある日、ポールの男らしからぬ情けない行動を実感し、途端にポールへの愛を失う。
ポールはカミーユの自分への愛の欠如に気がつき、問いただしたそうとするも、それらを跳ね除け、ただ現在のポールの周りにある環境を利用するために建前を取り繕うカミーユ。ジェレミーとのキスをあえて見せつけることで、もう愛を戻そうとしても無駄であることを伝えようともした。
最終的にポールは脚本の依頼を断りカミーユの気を引こうとするが、一度失われた愛は戻らないとしてカミーユはジェレミーと車で遠くへ出て行く。これはカミーユがポールの情けなさを思い知った最初の場面と重なる、メタファーのようなシーン。
しかし最後にはジェレミーとカミーユは事故で死んでしまうことになる。
ジェレミーとカミーユが背を向け合いながら死んでいるのもまた心の繋がりのなさを示唆している。

愛を信じ続けたポールは戯曲の夢もきっと追い続けるのに対し、きちんと相手に向き合わなかったカミーユは悲惨な最後を迎えたのか。

朱色と藍色の使い方が印象的。
それと、音楽の使い方。
初めてのゴダール映画。
前半は意味や話の筋を汲み取れなかった。
構図と、色の配置の仕方が面白すぎる。
引きのシーンの撮影もどこから撮ってるのかと不思議になる。
ギリシア神話?と、オデュッセイアの知識があればもっと楽しめたんだと思う。
また、教養のような詩などの引用が多数見受けられ、背景の古典を読みたくもなった。
難しい!90分と思えないほどの作り込みでした。すごい!
rezawa

rezawa