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軽蔑のscarfaceのレビュー・感想・評価

軽蔑(1963年製作の映画)
3.7
久々のゴダール。この映画は、ゴダールが結婚したばかりのアンナ・カリーナとの関係における悩みを投影したと言われています。でも恋愛要素だけでなく、偉大なるメトロポリスの監督フリッツ・ラングに本人役で出てもらったり、ハリウッド映画への批判もありと、映画に対する愛も深く感じられます。ゴダールはきっと映画を語る事なしに自己を投影した恋愛の映画を作れないのかなと思いました。本物の映画バカ。そんなゴダールが好きですが。
フリッツ・ラングは本人役で、オデュッセイアという映画を撮影中の監督を演じていますが、結局撮影中のまま本作は終了します。実際のラング監督は本作出演の数年前から亡くなるまで映画を撮っていません。つまりオデュッセイアが、映画という虚構の中で、よりリアルな意味での”幻”の遺作となったのです。これを考えるとなんともいえない不思議な気持ちになります。ゴダールのおかげで、フリッツ・ラング監督が映画の中で映画を撮り続けている姿を僕らはずっと観てゆける。しかも世界最古のSF大作映画を撮った監督が、古代ギリシャ文学最古期の叙事詩を映像化しようとしているなんて、なんだかとてもロマンを感じます。
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