Jean-Luc Godardの"Le Mépris" 邦題:軽蔑 を観た。
精神分析家であるジャック・ラカンの、「性関係はない(il n'y a pas de rapport sexuel)」というテーゼを、これほどまでに鮮やかに描いた映像作品は、これまであっただろうか。
これから、ありうるだろうか。
私は、ゴダールという存在をもってしか描き得ないものがあるのだ、と、この作品を見て感じた。
終始、心が引き裂かれそうになりながら、その繊細な「分裂」の描写に美しく傷つきながら、浸っていた。
自分のなかにおいてきた様々な「痕跡」を思い起こさせられた。
耐えられないほどに「ありふれていて」、しかし、耐えられないほどに「深刻」な、「愛」の話。
これほど普遍的で、古来から人類によって「語り尽くされ」てきたはずの「愛」というシェーマを、こんなにも美しく微細に、そしてその「醜さ」や「傷」さえも、痛々しいまでにあまりにも、あまりにも美しく、描写できるゴダールって本当にすごい。