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光をくれた人のYOUのレビュー・感想・評価

光をくれた人(2016年製作の映画)
4.1
デレク・シアンフランスが監督・脚本を務めた、2016年公開のヒューマンドラマ。
M・L・ステッドマンのベストセラー小説『海を照らす光』を原作とする本作は、小さな孤島に赤ん坊が漂流した事により、灯台守として暮らす夫婦の運命が変化していく様子が描かれます。本作はデレク・シアンフランス監督作としては例外的に原作が先にあるタイプの作品ですが、やはりシアンフランス監督の一貫したテーマや演出が今回も濃密に反映されていると思います。まず本作では「男女の馴れ初めから破綻までを描くことで残酷にも浮かび上がる”夫婦”という関係そのものの価値や普遍性」がメインストーリーと共に語られます。今回もキャストの熱演とそのリアリティが凄まじく、彼らがある悲しい現実に直面するシーンは本当に辛くなります。この徹底された演技・演出があるからこそ、物語の発端部分もスムーズに飲み込めるようになっているのだと思います。そして中盤以降では「罪の意識に苛まれる親と、それに翻弄される子供の姿を通じた”善と悪の二面性”」が語られます。ここで何より感情移入してしまうのは、レイチェル・ワイズ演じるハナです。彼女は劇中一番の悲劇のヒロインであるにも関わらず主人公夫婦にですら常に大人な対応を保っていますが、これにより悲痛な過去に苦しみながらも夫の面影を胸に懸命に生きているという事がより身に染みて伝わってくる本当に見事な演技だと思います。彼女の物語を通じて劇中で「光」や「灯台」が真に象徴しているものが明らかとなりますし、本作及びシアンフランス監督のテーマ性をより強く実感する意味でも原作小説と比較してみたくなりました。

すっかりデレク・シアンフランス監督のファンになりました。3作通して一貫した彼のテーマ性とその奥深さに魅入ってしまいますし、効果的な演出やキャスト陣の演技にも敬服するばかりです。また本作ではクラシカルかつロマンティックな撮影も印象的でした。という事で次回作があれば絶対に劇場に駆けつけようと思います!
























































































日本版ポスターにも記載されているガーディアン紙の『ティッシュ会社の株価が上がるほど、観るものは涙するに違いない』というコピーの回りくどさとドヤ感、、、ノーコメントで。
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