ちゃみろー

光をくれた人のちゃみろーのレビュー・感想・評価

光をくれた人(2016年製作の映画)
3.8
基本的にはマイケル・ファスベンダー演じる戦争後遺症の男が主役のダンディズム映画なんだよな。そうした視線でみると、親子愛や夫婦愛の描写があんまり情緒豊かじゃない理由がわかってくる。生と死の2つの海の間をさ迷う心が、妻の愛という灯台の灯りに照らされて生を取り戻すことができた。それゆえに、死産した我が子やドイツ人青年、島に来る前の赤ん坊の人生、そして夫と娘を失った女性を、生と死の境界線に置き去りにできなかった。こうした観念的な世界観の一方で、ネタはほとんど昔の大映ドラマで、その辺が商業映画として計算できるバランスになっているんだろうな。解釈を見ている側に委ねるのではなく、監督の作家性を反映した作品作りは好ましい印象を受けた。あと、赤ちゃんの愛らしさが反則だった。
2017.5.26 映画館(字幕)
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