ラッシャーさん

海のふたのラッシャーさんのネタバレレビュー・内容・結末

海のふた(2015年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

菊池亜希子主演とよしもとばなな原作につられて

海の見えるかき氷屋さんがモチーフということで、どこにもいけないこの夏をせめて映画で楽しもうと観た

見終わった所感は心が痛い………メッタメタに刺されたという思い………

見る前は心に傷を負ったはじめちゃんが海のそばで人々の優しさに触れて心を開いていく物語だと思っていた。

ところが、はじめちゃんが自分のことについて話をしても主人公のまりはどこか他人事。
あの家に着いた次の日はじめちゃんが泣き出したとき、いや黙って見てるだけかい!と突っ込みたかった
家族を失ったこと無い人には感情移入できないと思うけど、もう少し気遣えないのかなと思った。

それどころかまりは自分のことばっかりなように見えた。多分「はじめちゃんにこの町のことを教えてあげたい!」ていう思いで海につれていったり、オサムを紹介したりしてたんだろうけど自分が大好きなんだろうなーと思って見てた。

ただはじめちゃんは無意識ながらも自然に触れていくうちにだんだん口数も多くなるし表情が解けていったように見えた。

一方まりはただこの町が好きでこの町でかき氷やりたいっていう言わば自己満足の浦島状態だっただけで、実際周りはこの町に諦めモードだった。
お客さんもなんかみんな冷たいし、まず登場人物が少ない。

しまいにオサムが夜逃げして、現実を突きつけられたまりをはじめちゃんがなぐさめる

はじめちゃんが心を開くどころか、まりがはじめちゃんに傷を癒される話だった。

はじめちゃんが言った「孤独な子供たちにぬいぐるみを送りたい」ていうのはむしろまりに宛てていたのでは………と

まりは結局あの町でずっとかき氷屋をするわけで、帰ってくる人たちをずっと待っている。
さびれていく田舎の町は日本全国いっぱいあるけどふと帰ったときに待っていてくれて迎えてくれるそういう人が誰かいなきゃだめなんだとまりは思ったのではないだろうか。
町から逃げたからだめ、逃げなかったから偉いとかいう問題じゃなさそう。できる環境にいる人がやらないとだめというか。
それを見て自分もと思う人が増えるのを気長に待つしかなさそう。町おこしは

父の実家がある町を思い出して何とも虚しいけど、風景にはたいへん癒される映画でした。
あと音が良かった。海の波の音、浮かんだときの無音と気泡の音、花火のシュオオオって音、蝉の音。