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Wの悲劇のfallenleavesのレビュー・感想・評価

Wの悲劇(1984年製作の映画)
4.5
舞台の話だからたぶんスタティックな感じで好きじゃないだろうと思って敬遠していたのですが食わず嫌い、びっくりするほど良かったです。薬師丸ひろ子はこれまでの角川映画に比ぶべくもなく「女優」しているし、世良公則も声のパワーがうまく作用している。これが間違いなく代表作でしょう。腹上死した仲谷昇の信じられないくらいダラっとした死顔も最高でした。仙元誠三による撮影もショットが決まっていて、荒井晴彦らしさが滲み出る脚本も泣かせます。梨元勝、福岡翼と出てきます。
扱っている題材は腹上死、スキャンダル、嘘、復讐などかなりドロドロでエグい題材を扱っていますが、こんなに品良く切り取れるということにも驚きです。見せ場である腹上死とそれに伴う事後処理(三田佳子が薬師丸ひろ子に責任を被せるまでの段取り)をバサッと落としたのも良かった。おかげでサスペンス性が薄れ、スター誕生物語にフォーカスされるため、この尺(108分)でも短く感じない。むしろちょうど良い。良い俳優・スタッフに適切な条件を与えれば良い映画が取れる、という見本のような作品。ラスト、薬師丸ひろ子のこの表情で終わるのか、っていうのも素晴らしかったです。
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