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Wの悲劇のSYUのレビュー・感想・評価

Wの悲劇(1984年製作の映画)
4.0
2021/09/08
監督 澤井信一郎
薬師丸ひろ子
三田佳子
世良公則

【私、女優なんだから】

スターを目指す若き女優である主人公が、ベテラン女優のスキャンダルの身代わりとなった見返りとして、自らの夢である舞台女優へのし上っていく姿とその果てに待つ哀しき結末を描くドラマ。

追悼 澤井信一郎監督

過去読んできた推理小説の中でも、特に衝撃を受けた作品の一つがE・クイーンによる「Yの悲劇」だった、本作はそれを含むクイーンによる「悲劇4部作」へのオマージュとして執筆された、夏樹静子による傑作推理小説「Wの悲劇」を映画化したものだが、映画内においては主人公達が演じる舞台の原作として使われている。

夢のため、欲望のため、栄光のため、女達が織りなす悲劇、自分は原作のファンであったが、それを敢えて劇中劇にしたアイディアが素晴らしかった。

アイドル女優だった薬師丸ひろ子が、可愛さの中に強かさと危うさ、野心を隠し持つ主人公を演じ日本アカデミー主演女優賞にノミネートされ、役柄そのままに実力派女優として評価され始めた作品、そして本作がデビューとなった高木美保の存在感も凄かった。

同時上映は原田知世主演の「天国にいちばん近い島」だった、とても贅沢な2本を見れて、満足して帰った事を思い出した一本、澤井信一郎監督はその後の「早春物語」や「めぞん一刻」も見に行きました、訃報を知って、懐かしさと寂しさが胸に込み上げた今日でした。

鑑賞日1984年 劇場にて
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