OASIS

ローリングのOASISのネタバレレビュー・内容・結末

ローリング(2015年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

盗撮事件を起こし逃亡中の元高校教師権藤と、その恋人でキャバクラ嬢のみはりに惚れてしまった権藤の元教え子貫一の話。
監督は「乱暴と待機」等の冨永昌敬。

映画は、全編を通して主人公権藤のナレーションで進行する。
この主人公がいっそ清々しいほどの屑っぷりで、湿っぽさが無く屑なりの人生を謳歌しているようで楽しそうだった。
そんなカリスマ的なクズさを発揮する権藤の影に隠れてはいるが、みはりを寝取った貫一も中々のクズ具合。
権藤の仲間も貫一の仲間も、要するに全員クズである。

逃走途中の権藤を匿った事から恋人みはりに一目惚れしてしまった貫一は、権藤からみはりを引き離し自分の物にしようとする。
無事みはりを手に入れた貫一だが、権藤の仲間達によって高値で取引された盗撮ビデオが原因でそのいざこざに巻き込まれてしまう。
失う物が何も無くなった人間ほど怖いものはないというが権藤もまさしくそれで、40過ぎたおっさんが自身の現状を顧みること無く妙な明るさで近寄って来たらそりゃ怖いだろうと思う。
「奥さん、巨乳だよな〜?」と近所の人妻を見る目はマジキチそのものだった。

上記のシーンを筆頭に、コミカルな描写が多くて笑ってしまう場面も。
ヤクザと権藤達がハードディスク内の証拠隠滅を巡って妙に長いやりとりを繰り返す下りはその間抜けさが可笑しい。
ただ、当人達は至極真面目にやっているから、急に素の部分が垣間見えたりする時にはそのギャップにちびってしまうくらいの恐怖を感じてしまう。
ヤクザ役や弁護士役の俳優の胡散臭い感じも良くて、こんな人達に騙されていそうな田舎の若者達なんて山ほどいることだろうなと思った。

三浦貴大の真面目な青臭さと柳英里紗のエロ可愛さがこの二人の関係をもっと見ていたいと素直に思わせてくれた。
その関係性は田舎都会に限らず若者にありがちな刹那的なものだけど、貫一がおしぼり工場で働いてたりみはりが場末のスナックで働いてたりと、土着感たっぷりでより切なさが増していたと思う。
そんな境遇なら、一目惚れという一瞬の出会いを逃したくなくなるのも分かる気がする。
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