佐藤克巳

小原庄助さんの佐藤克巳のレビュー・感想・評価

小原庄助さん(1949年製作の映画)
5.0
戦前小作料で左団扇の庄屋階層が、農地改革で手足をもぎ取られ没落する時勢に、村の家柄の高い名家主人杉本左平太大河内傳次郎は村人から、朝寝朝酒朝湯が大好きの小原庄助と煽てられ寄附を募られ、妻風見章子、婆や飯田蝶子の心配を他所に散財を繰り返す。大河内は初めから、自身の才覚の身の丈に合った暮らしを望んでいた様だ。裸一貫になった一人の男にそれでも付いて来る風見と、汽車で郷土を離れ再出発するのだった。清水宏監督の抒情豊かな映像美と、大河内の飄々とした演技が素晴らしい戦後風物詩の傑作。だが残念だけど、今日の日本は、世界中からたかられる小原庄助さんでしょ。
佐藤克巳

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