小原庄助さんの作品情報・感想・評価

小原庄助さん1949年製作の映画)

製作国:

上映時間:97分

ジャンル:

4.0

「小原庄助さん」に投稿された感想・評価

Ryosuke

Ryosukeの感想・評価

3.8
ロバが歩くショットを中心として田舎の風景描写に情感がある。細かい所作や言葉の中に可笑しさを見つけ出す視点が温かい。ミシンと木魚のモンタージュが気持ちいい。
大河内傳次郎の気の抜けた普通のおじさん感が実に良い。戦後の社会変化の中で実態と合わなくなった大きな屋敷を見て回る姿がどこか切なく、しとしとと降る雨が家の零落と対応する。婆やに叱られて丸くなった背中が哀しい。泥棒を投げ飛ばした後、まず最初に倒れた酒瓶を起こす挙動。とりあえず盗人にも酒を振る舞う。芸者はあれ知ってて歌ってるのかな...まあ笑えるけど。
どこまで続くのだろうと思うほど幾つも部屋を超えていく横移動撮影が二度あるが、この移動撮影が行き着く先で最後に捉えるのは、家がすっからかんになるキッカケを作る金貸しと家を出る決意をする妻という重要な局面の重要人物になっている。
ラストに「終」ではなく「始」が表示されるのは粋で感心した。確かにどう見ても物語の始まりだもんな。
mingo

mingoの感想・評価

3.9
どう考えても小津より清水だろ、
二桁は観てるけど全作品観たくなるのは清水宏の横移動撮影とドキュメンタリータッチが胸に響くからか。「小原庄助さん、何んで身上ツブしたぁ〜」大河内傳次郎作品は観たいのが無限にありすぎておれが身上つぶしそう、、、
紫色部

紫色部の感想・評価

3.5
2018.12.6 神保町シアター

家屋内をすーっと横切る移動撮影、排水溝をさーっと流れていく名札、一匹だけでパカパカ帰っていくロバ。余白におけるサイレント映画的な所作(傘を広げて去る後ろ姿!)にもやられるし、それに呼応するラストのロングショットもあまりに粋。
清水宏(×小津安二郎)特集が神保町で行われているということで、DVDレンタルできない今作等を見ようと思ったけど、全く不安は抱かなかったとはいえ図らずも清水作品の初劇場鑑賞となったこの作品が毎度の如く素晴らしいもので良かったと思う。

話は小原庄助さんを自称する日本版幸福の王子みたいな大河内傳次郎の人情話って感じで、それ自体でも中々笑えて良かったのだけど、それ以上に成瀬のように律儀でくどいところが全く無い抑制されたカット割りや同時代のオフュルスばりに見事なカメラワーク(特にミシン教室を横断する箇所は圧巻!)が素晴らしく、こういう映像芸術を堪能したいが為に自分へ映画を見ているのだなとつくづく気づかされる。

大河内傳次郎らの演技が自然主義的清水演出に似つかわしくなく、飯田蝶子が出てるシーンもトーキー初期の小津映画みたいで清水映画らしくない印象も最初はあったけれど、見ていくと演出や映像の質感が明らかに清水作品のそれだから全く気にならなくなるのは流石と言わざるを得ない。

あとロバが所々で存在感を発揮していたが、ブレッソンやジャック・ドゥミに先んじてロバに着目するという点でも清水宏がとんでもない監督であったことがよくわかる。

毎度毎度そうだが、清水宏は作品を見る度に敬愛の念が強まっていくから堪らない。
とあるど田舎の村で旧家として栄華を誇った家柄の主人大河内伝次郎は、会津磐梯山に歌われる小原庄助のような人物であり、朝寝朝酒朝湯はもちろん、おだてられると頼みを断れず散財の日々、そんな日々が終わる(始まる?)までを描く

小原庄助さんのお話は1960年東映の「庄助武勇伝 会津磐梯山」で見たことがあり、こちらの作品も気なっていて、今回神保町シアターの清水宏特集で念願の鑑賞の機会を得ました

タイトルしか知らなかったので見ていくと思ってたのとは全然違った
東映の映画は正に小原庄助が登場する娯楽時代劇
こちらはというと時代劇のスター大河内伝次郎を起用していながら現代劇なんですよね(たぶん時代劇規制の問題もあるんだろうけど)

こちらも中盤くらいまでは軽いタッチの娯楽作風なんですが、終盤からはリアリティやメッセージ性が強くなる
時勢の移り変わりであったり、立派な家柄であるがゆえに小原庄助を演じなければならなかったとか、世の中のせちがらさとか

そして一番衝撃を受けたのはラスト、普通なら小原庄助終で締めるところを小原庄助始って!二度見しちゃったよ!このパターンは初めて見たわ

のどかなお話から徐々に現実を見せつけてきてしんみり寂しく終わるのかと思ったら、ここから!みたいなのが良いですねー
1人旅立つ大河内伝次郎を、出て行ったはずの風見章子が追いかけていくラストも素敵!
あらき

あらきの感想・評価

4.0
芸者が歌うシーン、怖すぎる。さっぱりと美しいロングショットで〆。
あの清水宏が大河内傳次郎を使ってるのも、この現実味のないキャラクターを立たせるためか。
ロバが愛しい。
yuka

yukaの感想・評価

3.7
どんどん落ちぶれていく当主を見るのはつらいけど、ラストシーンと「始」の文字に救われる優しい映画
映画館(神保町シアター)で鑑賞。
これまで小原庄助さんといえば「朝寝、朝酒、朝湯が大好きで、身上つぶした…もっともだ~、もっともだ~」という程度しか知らない人物だったが、この映画ではかなりお人好しの小原庄助さんを大河内傅次郎が演じており、ユニークな作品だった。

小原庄助(大河内傅次郎)が朝湯に浸かっている場面から始まり、酒好き、寝るのも確かに好き…(笑)
更に、物凄いお人好しであり、子供達には野球道具一式を贈呈したり、近所の女性たちには(当時高価であっただろう)ミシンを多数贈呈したりしている。「めちゃめちゃ金持ちなのか?」と思ったら、代々の家柄は良家なのだが、小原庄助さんは大量の贈呈品などはなんと借金してまで贈呈していたのだった。
奥さん(風見章子)とお手伝いさん(飯田蝶子)が気をつかって大変である。

ただ、小原庄助さんは、村人の誰にも好かれながら、飄々と過ごしている。
悠然とした雰囲気を漂わせながら、小原庄助さんを演じた大河内傅次郎は見事な演技を見せてくれた。
AS

ASの感想・評価

4.0
明朗快活な子供たち、カメラの横移動、紛れもない清水映画。
大河内傳次郎が泥棒2人組を酒でもてなすシークエンスが最高。これから先の人生、定期的に立ち止まってこの映画を観るのも悪くはない

@神保町シアター
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