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僕と世界の方程式のtakaeのレビュー・感想・評価

僕と世界の方程式(2014年製作の映画)
4.2
主人公のネイサン、小さい頃に自閉症スペクトラムと診断され、独特のこだわりやコミュニケーションの難しさを抱えながら生活しています。ただ、数学に関しては天才的。小さな頃からノートには難解な数式がびっしり。
普通の学校では適応できない息子の才能を伸ばそうと、母親は今は訳あって高校で数学を教えている教師のハンフリーズに個人教師を依頼します。そして、そこでネイサンは国際数学オリンピックのイギリス代表になるという目標を抱きます。

実はわたし、仕事で臨床心理士をしているので、ここに出てくるネイサンのような自閉症スペクトラムのお子さんや親御さんと関わることもあるのですが、この作品の中でネイサンを診断した精神科医、少ししか出てこなかったけど素晴らしい先生だったと思います。そこで親がどんな説明を受けるかで、その後の理解や対応がかなり違ってくるような気がする。

ネイサンの周りにいる大人たちの理解、あたたかさ、愛のあるサポートは本当に素晴らしかった。自らも多発性硬化症という難病と闘っている数学教師ハンフリーズの、数式を使ったコミュニケーション、特別扱いしない接し方、息子ともっとコミュニケーションを取るために自らも数学を学ぼうとする母親の愛。

そんな理解者たちと初めて離れて一人で数学オリンピックのイギリス代表合宿に参加するネイサンだけど、そこで初めて、決して数式では解けない『恋』を経験します。

戸惑いながらも少しずつ笑顔が増え、表情が明るくなるネイサンの純粋さが本当に眩しくて、自分の感情に戸惑ってネットで恋の方程式の解き方を調べるシーンは何とも言えない気持ちになりました。本当に真っ直ぐだなぁ。

これまで数式を通してコミュニケーションを取り、何よりも数学のことを一番に考えてきたネイサンだけど、ラストのあの決断と行動には思わずよっしゃ!って声出ました。
ネイサンを支えてきた数学教師のハンフリーズと母親の対応も本当に素晴らしかった。

最後、母親とお店で話すシーン、めちゃくちゃ泣いてしまった。嗚咽案件。やっぱり母の愛は大きくて強いよね。
あー、本当にいい映画だった。大好きになりました。

母親役のサリー・ホーキンス、シェイプイブウォーターの時も思ったけど、少女みたいな初々しさと強さの両方を持っているようなイメージ。主演のエイサ・バターフィールドの繊細な演技もすごく良かったです。

アマプラで配信中なので、是非観て欲しいです。たまには泣き活もいいもんですね。
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