同じ世界の中で別のルールで描かれた3つの世界線。
その余りにも乖離した世界が魅力だった原作に比べると、かなりストーリーとして無難にまとめてきた印象。
漫画的に描かれるコメディとラブストーリーに比べて、温度のないリアリティを追求した森田パートの分離はほどほど。
それでも作品としては良く描けている。
森田剛のサイコパス感もなかなか。
ただ主人公と森田の過去を絡めたりする事で、ある意味凡庸でウェットなプロットになってしまったのは残念。
佐津川愛美は上手い。
コミック的なヒロインと、リアルなサイコパスの被害者を違和感なく演じ分けている。
ラストの急なチープなオリジナル要素はいただけなかったが、史上最高のタイトル出しのタイミングなどセンスを感じる点も多々。
原作らしさと監督の描きたいテーマが少し喧嘩してしまったのかな?
それが後半の失速につながったなら残念。
日本のサイコサスペンスとしてはかなり良い出来ですが。