まさか森田剛主演の映画をスクリーンで観る機会が来るとは昔は考えられなかった。
かなり時間が経ってからタイトルが表示されるが、そこからまるで別の映画に変化する。
この作品の森田剛演じる『森田』は『冷たい熱帯魚』のでんでん、『悪の教典』の伊藤英明に並ぶ邦画史上に残るサイコパスだった。
森田剛は殺人や強姦を繰り返しているのに全くギラギラしていない殺人鬼と言う特異なキャラクターを見事に演じている。
濱田岳の上手さはいつもの通りだが、ムロツヨシのキャラクターも古谷実の作品の世界にぴったりハマっていたし、佐津川愛美も激しい濡れ場を見事に演じていた。
最後に映された『森田』の学生時代のまだ純朴な時代を見せられると、逆にどんな人でも、環境や経験によってあそこまでの狂気にかられた人物になってしまう可能性があるのかと怖くなった。