inazuma

戦慄怪奇ファイル コワすぎ!最終章のinazumaのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

なんじゃコレ!!笑
白石晃士がとち狂った映画監督であることがハッキリわかる問題作!

コワすぎワールドのみならず、まさか白石ワールドそのものがマルチバースの考えの上に成り立っていたとは!そして後半のタイムスリップ展開…アベンジャーズやないか!あんたが先にやってたんかい!笑

白石監督のとる行動ひとつで世界の法則が変わってしまうことから、いくつもの並行世界が白石を軸としているんだと分かりました。
前半、白石に課される「4つのミッション」は、物語(本作の世界)を完結に向かわせるのに必要不可欠な要素「暴行」、「性犯罪」、「自傷」、「殺人」を創造主である白石自ら実践することで完結に近づけているように思いました。「こんなメチャクチャなシリーズ作りやがって!白石、テメェが責任取れ!」って誰かから言われた、とでも言うのだろうか。
冒頭で上村から白石へ吐き捨てられた言葉にもなんとなく納得だし、いろいろ繋がってきます。
「襲ったり吐いたり切ったりしないでください」
「私が全部終わらせますから」
「あなたは余計なことをしないでください」
「頑張らないでください」
⬆4つのミッションとは、白石作品にこういう印象を持つ人たちへの監督なりの懺悔、戒め、とでも言うのだろうか。

本作でいちばん上手いというか、ズルいなと思ったのは、「コワすぎクルーたちが超常現象に慣れてきた問題」の解決させ方です。「コワすぎシリーズ」を同じ登場人物でまだまだ継続させるため、工藤たちの記憶をぶっ飛ばし、別世界へぶっ飛ばすことでリセットさせるという…白石監督、あんたやりたい放題にも程がある。。笑
「もっと売って金儲けしてイイ女いっぱい抱いてetc…」は白石の本心を工藤に言わせてるのかな?異世界の者たちがこちらの世界へ浸食してくる事実を知った工藤が「こんな世界じゃ、コワすぎ売れねーじゃねーかよ!」と言います。これも、いまや貞子や伽椰子がマスコットキャラクターに成り下がった現実世界で、ホラー作品に見慣れてしまった我々への叫びを工藤に代弁させている、とでも言うのだろうか。

自分中心の物語で、このやりたい放題な感じから、白石監督が"腰の低いラース・フォン・トリアー"のようにも見えましたが気のせいか?(そういえば"T-STREAM"の文字が終始画面に貼り付いたままなのは『エピデミック 伝染』ぽいなと思ったり思わなかったり)

大好きな『ノロイ』や『オカルト』の世界を垣間見ることができて嬉しかった。『ノロイ』主演の小林役・木村仁が出てきたときは、(小林とは別人ですが)生き延びてた!という感動がありました。元気な姿を見せてくれて何より。工藤たちと絡んでるところも見たかった。

やりたい放題なのはいいのですが、その割には爆発力に欠けると感じるところも。コワすぎ歴代のお化けや妖怪、キャラクターが一応は総登場しますが、いつものカクカクした動くイラストみたいな感じでちょこっと出てくるだけなのはいくらなんでも物足りない。カッパ回でラストにカッパ化した呪術師のおっさんも普通の姿だし、口避け女の最終形態(?)とかもFile-01でやりっ放しだし、いろいろ回収しないまま別世界に飛んじゃったので、なんだかなーって感じです。

そうは言っても次の『超コワすぎシリーズ』が気になりすぎてしょうがない脳になっちゃってますので、最新劇場版まですべて制覇したいと思います!
inazuma

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