すげー面白かった!
ターセムがビジュアリストの側面を封印し割り切った「娯楽映画」として挑んだ作品としても誰もが楽しめる。
でもターセムファンとして注意深く観てると、隠そうとしても(してない)ドロドロこぼれるターセム汁を楽しめるウキウキな作品ともなっている。
もちろん今までの作品のようなこれ見よがしなアートなシーンは出てこない代わりに、ワンカットワンカットが彼のフィルターを通したものとなっていて、娯楽映画なのにちょっと上品な仕上がりになっている。極端に言えば撮影の「構図」がいちいち素晴らしい。
白眉はカーチェイスの撮り方。細かくカット割りをしないで、森の景色とともに全体を見せる。この静かな違和感と興奮。
ターセムが撮らなくても、という人がいるかもしれないが、ターセムだからこその場面に溢れている。
もちろん小さいことを気にしない「娯楽映画」としてもとても優れている。いい脚本だと思う。特に伏線の張り方が巧みで、素直に驚かされた。