キム・ジウンによる韓国映画「悪魔を見た」のインドでのリメイク作品。原作のエグめのスリラーとは打って変わって、男女の出会いと深まる関係性に重きを置き、光で照らされゆく心の闇を音楽に乗せて描く、紛れもないインド映画に変貌を遂げた。物語の大筋は準えつつもテーマが全く異なり、別物として楽しめる。そんでもってめちゃくちゃ面白い。
女の死と白い空に浮かんでいるニコニコマークの黄風船、カラフルで外連味のある演出から、炎の中で燃えていく男、警察に拷問される男。本家とは違った始まり方をするが、大切な女性の命が奪われ、復讐の鬼になる男を描くという大筋は共通している。そして、インド映画らしく、“ヴィラン”の映画であるいうフォーマット作りがされていて、娯楽映画に近づいている。前半は男女の出会いから心を深めていくことに割き、心に闇を抱えた男が明るく人に慕われる彼女にどんどん惹かれていくさまをインドの音楽に乗せて描く。教会の前に置かれた看板に刻まれた「赦しは過去を変えはしないが、未来を広げる」という格言が非常に印象に残った。夫婦生活や職場関係で日々抑圧されて壊れていく犯人役にもしっかりフォーカス、愛を求めてそれを突き返されるキッツイ生活を描くのが上手。
