柏エシディシ

ウイークエンドの柏エシディシのレビュー・感想・評価

ウイークエンド(1967年製作の映画)
3.0
週末。というより、終末。
ブルジョワもコミュニストもファシストも全員くたばっちまえ。
政治に傾倒し、アンナ・カリーナにフラれ、トリュフォーらヌーヴェルヴァーグ時代の同胞とも決別。
ゴダールのヤケクソ気味な自虐と毒に、今風に言えば草生える一本。
お互いの姦淫を隠そうともせず、金の為に密かに相手を殺そうと企む夫婦が、親の保険金欲しさに車を走らせるが、道行きは渋滞だし、次々に変なヤツに絡まれ(または絡み)なかなかの地獄。
そう、罪深きこの男女はもうとっくに惨めに事故死し、地獄巡りのループに堕ちてしまったのだと思えば、この不条理な映画も理解出来る。
逆光のシルエットで語られる猥談。絶妙なタイポグラフィー。300メートルの渋滞の長回し。旋回するカメラとモーツァルト。宗教と政治と哲学が交錯する着地の無い議論。ワケワカランかっこよさ。
柏エシディシ

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