だん

父を探してのだんのレビュー・感想・評価

父を探して(2013年製作の映画)
3.5
『映画ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム』にも通ずることだけど、台詞を排して動きだけで全編走り抜いてみせること自体が本当に凄まじい。
特に今作に関してはボタンのような顔の登場人物たちが殆ど表情を変えずにそれでも何を思っているか、何を感じているかが汲み取れるようになっているのだから驚いてしまう。
白いキャンバスがどんどんどんどんと色で染められていくことで少年の目に映る世界が無限に広がっていく冒頭で涙腺が欠壊してしまった。
劇中に登場するものは「これは馬だ」「これは花だ」と見たまま頭の中で認識は出来るものの、表現方法が唯一無二であるため少年の「初めて」が観客にも共有される。
アニメーションの無限性を改めて実感させられた。
それだけに安易なエコメッセージが着地点になってしまっているのは非常に残念。
「世界の広がり」を感じられる描写が多いためそれはそれでありなのかもしれないが、作品規模に対して少し風呂敷を広げすぎた感は否めず個人的にはもっと狭く深いテーマを用いて欲しかったと無い物ねだりをしてしまったり。
アカデミー賞長編アニメーション部門ノミネートということで今後日本での注目も高まりそう。
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