父を探しての作品情報・感想・評価

「父を探して」に投稿された感想・評価

chaooon

chaooonの感想・評価

3.7
色鉛筆で描いたシンプルな線描に、クレヨンや油絵で彩られた色鮮やかな世界が心を踊らせる♪
絵本のページをめくるような感覚で、物語を眺めることが出来る♪画面の描画だけで充分に楽しめる♪

シンプルな描画の中にも柔らかい質感や、温かみ、眩しい光が差し込む表現が素晴らしい♪

空の色が現実にはない幻想的な色合いでありながら、どこか懐かしさを感じるし、感情を掻き立てられる美しさ。

見始めた時はこれが1時間以上もホントに続くの?といった気持ちにもなったけど、後半に行くに連れて、描画も濃密に、映し出す情景も現実社会を投影しているように、語り掛けるような内容に展開。

手描きにコラージュが密に重なって、前半の柔らかさとは対照的に無機物で、ひしめき合う都市の成長が目まぐるしい。

旅の行き着いた更にその果てに、少年が見つけたモノがとてもあたたかい。じんわり。
音には鮮やかな色彩があって幸せな記憶と結び付いていた。豊かさと引き換えに失ってしまったものが、かつて確かにそこにあった幸せな暮らしが、ラストで押し寄せてきて目頭が熱くなってしまった。
まくら

まくらの感想・評価

4.1
子供の落書きのような明るく朗らかなタッチで、
目を背けたくなるような世界の真実を描き出す。
たった80分で、人類そして人生の本質を不必要な感傷は一切なく淡々としかし切実に描き出している。
ミクロの深層から浮き上がるような形で幕を開け、そして巨大なシステムと化した人間社会のミクロへと迫ってゆく。そのシステムによって「個」が奪われたのか、それとも「個」は人間が生き物として元来内包している本懐ではないのか。答えは何も示されない。
虚無に耽溺してしまってもおかしくないテーマでありながらとても優しい気持ちになれる不思議はその絵柄故だけではない。歯車の一つとして生きる者にも、その営みの中に幸福が確かにある。
素晴らしいのはブラジルのスラム出身ラッパーによる美しい主題歌。
子供、世界、世界、子供、子供、世界、と囁くように淡々と繰り返される言葉がぐるぐる廻り、映画本編と見事にシンクロ、融和してゆく快感。
「子供」「世界」この2つの言葉を並べられているだけで何故かもう泣きそうになる。

ただ一点、終盤「戦場でワルツを」と同じ手法で世界のリアルを叩きつけてくるわけだけども、
20年前にこれをしていたら手放しで大称賛ものだけれど今の時代少し今更感が拭えず逆にチープな感じがするような。

とはいえこんなアニメーション映画観たことないし、胸をえぐるような内容、寓意性、ハッピーエンドともアンハッピーエンドとも何とも言えない余韻を残す締めくくり方、とても心に残るいい映画だった。
こさこ

こさこの感想・評価

4.2
すごくカラフルで余白をいっぱい作ったりしてて、画面は好きな要素しかなかった。
てぃだ

てぃだの感想・評価

2.8
これを長編アニメと呼ぶのはちと抵抗がある。だって子供の落書きにしか見えないもん。といいつつ自分こんな落書きすら書けないけど。落書きされたテレンス・マリック映画という感じで、センスの良さより心地よい眠気ばかり感じる。セ、セリフがほしい
highland

highlandの感想・評価

4.0

画面が良過ぎてずっと見てたい感じだったのだが、舞台が都会に移ってくあたりから実写コラージュが増えて急に現実味が増して来るのヤバい。
山なりに沿って立つ近代的なビルにスラム街が隣接してる都市っていうのはブラジルのリオとかの反映なのだろうけどそれもディストピア感に貢献してる。

実写パート入れるのだけはやめて欲しかった。一気に辛気臭くなる。『戦場でワルツを』でもあったし、政治性を込めるためによく使われる手法なのかもしれないが…

見せ場が連なった串団子式のアニメーション映画かと思ったら円環構造をちゃんと入れて来てた。無常感に包まれてしまう

2018/12/02
のぶ

のぶの感想・評価

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#父を探して 見逃して気になっていたブラジルのアニメ映画が #netflix にあった。消えた父を探しに少年が生まれ故郷を飛び出し駆け出すところから物語は始まるが、そこから一筋縄ではなく変容していく。パステル画の絵本がそのまま動いてるような映像が素晴らしい。コンテナ船のくだりにハッとした。
社会学の講義で触れられてたのを思い出したから
なんかめっちゃ疲れた
げん

げんの感想・評価

-
少年の生糸が紡ぐ世界。

あの美しい記憶、優しい音だけは、忘却されず、自らと共に歩んできたのか。

心からの友人とは、唯一、自分自身かもしれない。
樹

樹の感想・評価

4.1

このレビューはネタバレを含みます

主人公の少年は可愛らしいが、どこか無個性に見える。というか、そう見えるように描かれている、と思う。ニュートラルな少年の視点から、社会の美醜両面が明らかにされていく。いわば、これは戯画化された現実社会像なのである。
 その点では、フレデリック・バックのアニメーションを連想した。色彩の鮮やかさや、テクスチャ感も通ずるかもしれないが、テーマやメッセージについても、結構近いように思われる。とはいえ、今作特有の個性は多分に見られ、驚かされた。


色鮮やかなものと黒っぽい無彩色なもの、世界の美の面と醜の面、それ等は割とはっきりと分かれ、強調されているかのように見えるが、実はあまりはっきりしていないようにも見える。
 例えば工場労働者の若者の、都市での暮らしは幸福だろうか、不幸だろうか。労働は過酷そうだが、人々が大勢集まる祭りといった、都市ならではの楽しみもある。
 大量生産の工程は非人間的でおぞましくも見えるが、人の叡智の偉大さととることもできる。
 どんな社会が幸福だろうか、それは明確に示されてはない。だが、はっきりと感じられる監督の意志は、幸福の美しさを忘れてはならないということ、そして現実に進行している悪い事態を軽視してはならないということだと見受けられた。

 実写のカットが唐突に挿入されているところは、一番に強烈だった。手書きの画風の中に現れる現実は異質で、グロテスクで暴力的だ。それ等はいうまでもなく、多くの現代人が目先の快楽の為に見ないふりをしている、実際の社会問題、自然環境問題なのだ。
 台詞なし、手描き、といった手段は、作者の問題意識をオブラートに包むことで、受け入れられ易くしているのだと思うが、だからこそ、急に現れた直接的な情報はパワフルだった。


こういった問題提起の作品を、なんとなく不愉快に思う方は結構いるだろう。その理由は少し考えただけでも色々推察できるし、理解できなくもない。しかしだからといって、この作品を批判するのであれば、それは短絡的であまり賢くはないと思う。実際にある問題を、素直に問題と認めることを、この作品は訴えているように感じた。私は都市に暮らす人間だが、だからこそこの作品を軽んじないようにしたい。
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