森崎

コルテオの森崎のレビュー・感想・評価

コルテオ(2006年製作の映画)
3.5
そこは道化師の夢の中。永遠の眠りについた彼の葬式が行われている―

暗闇に浮かぶシャンデリアや天使、ふわりと現れて消えて行くマリオネット…。優雅なアクロバットと力強い楽隊の行進が幻想的な雰囲気を作る。
物語性が高く、全てがひとつの線でつながるようなこのショーは「サーカス」よりも「演劇」に近い見せ方だろうか。
着地ではなく跳躍、大地を踏みしめるのではなく空へ浮かび上がるような浮遊感。それが観客のパフォーマンスに対しての恐怖心を無くして演出の一部として存在するように見せているのかもしれない。

先日シルク・ド・ソレイユが日本ツアーを行っている「トーテム」を観に行きました。こちらはこの世に存在する生命や自然の力強さをテーマにしていて「コルテオ」とは全く異なる印象。パフォーマンスもどちらかというとひとつひとつ独立していて多くの生命の営みを表しているよう。そして生で目にしたことも理由のひとつだろうけどとにかく口が開きっぱなしになるようなダイナミックなアクロバットが印象的でした。

円形状のステージ、ビッグトップ。そこでシルクが行うショーが演出家によってこんなにも変わるとは面白い。ショーに関わる製作陣やスタッフやパフォーマーの想像力や挑戦や身体能力や情熱があるからこそ。そして表に出て客の歓声や拍手や笑顔でやっと本物になる。
やっぱり芸術、特に身体表現っておもしれーなあ。可能性が無限大にある。
森崎

森崎