三樹夫

BORUTO NARUTO THE MOVIEの三樹夫のレビュー・感想・評価

BORUTO NARUTO THE MOVIE(2015年製作の映画)
3.1
『ナルト』の漫画は腕に大量の写輪眼を埋め込んだおっさんが出てくるところまでは読んでる。漫画の『ナルト』って絵は上手い。ただアクションの時などは動いているようには見えず止まっているように見えてしまうので画は上手くないというか、一枚絵は上手いけど動きは苦手なイラストレーター的というか、漫画は上手くないのかもしれない。会話のセンスは致命的に下手で、そもそも変な語尾でキャラ付けしてる時点でダメ。そしてギャグセンも低いと、センスあるところとないところの差が激しい。アニメ『ナルト』は制作はぴえろで『幽白』や『忍空』を経てコツコツ積み重ねてきたアクション演出が特徴で、東映とはまた違ったアクションが良くて、今やぴえろ的なアクション時にわざと崩す作画が一大潮流のような気もする。中国のアニメ『羅小黒戦記』のアクションは『ナルト』っぽかったし、『ゲゲゲの謎』の対鬼道衆のアクション作画も『ナルト』系列だった。

この映画で原作者の岸本斉史が脚本、キャラデザ、製作総指揮を務めているが、アクションシーンは良いがそれ以外が退屈という出来。つまり本編95分ある内の80分ぐらいが退屈。95分の話を作るということに一番苦労しているように思え、こんなことなら東映アニメフェアの時の『ドラゴンボール』みたいに本編45分でただ敵が出てきて殴り合いしてるという方が満足度は高かった。アクションは最終的に忍術捨てて体術のみで戦うのでアクション自体は良く、それ目当てに観て十分お釣りがくる。
毎日仕事で父親は家に帰ってこず、かまってもらえなくて寂しい息子はひねくれるという、何十年前のテンプレを持ってきてるのと思うし、これを2015年に作るのはもっとまともな脚本家いなかったのと思う。こういうテンプレはしょうもない洋画でちょくちょく観たけど、さすがに洋画も2015年だとこんなテンプレはそうそうやってないし、話のセンスが古すぎる。
日本のアニメの手癖という感じで、何でこうも分かりやすく分かりやすくするんだろうと疑問はある。たとえ子供向けでも宮崎駿とか『クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』とかはそんなに手癖を感じないのに、なんでこんなことになっちゃうんだろ。
どう考えても町山智浩と宇多丸だろうというキャラが出てくるが(キャラ設定集で名前こそ出さないが町山智浩と宇多丸で確定している)、ラスボスとの関係もない小者クズみたいなキャラだったので、ディスみたいな感じで出したのだろう。そういう所もダサいんだよなぁ。劇中における現実の評論家の使い方は『グレムリン2 新・種・誕・生』がやはり正解か。『ナルト』ってギャグセンの無さが結構痛いのかもしれない。
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