【この人のことで悲しくなるなんて】
急逝して5年が経つエイミー・ワインハウスのドキュメンタリー。
ありがちな、「故人の印象を話す映像の寄せ集め」ドキュメンタリーにあらず、残された本人の映像を時系列に辿る構成が面白い(本人の曲がその都度使われ、ボリウッドみたいで楽しい)。
「生前のイメージが非常にスキャンダラスな存在だったから、それをリセットするために撮った」と監督が話す通り、下ネタに強く面白いそこらにいる姉ちゃん像が描かれている。聡明なのでモテるのもわかる。。
ただ、やはり、印象に残るのは、プライベートの(パブリックでない)映像の量。
父親や彼氏含め、エイミー・ワインハウスに群がる人の下衆さ。"普通"の女の子が"普通"に恋愛してるだけで、才能があるとこうも悪い方に行ってしまう。不運だ。
劇中、本人が残した「有名になりたいなんて思わない。クラブで数人の前で歌うのが夢」、トニー・ベネットからの「生き急ぐな。生き方は人生から学べる。長く生きてれば」には、言葉が出ない。
もうセルビアのコンサートを話題にする奴はいないだろうと思える映画だからこそ、鑑賞後がとても悲しい。