アトミ

お遊さまのアトミのネタバレレビュー・内容・結末

お遊さま(1951年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

85点

京都。
茶室でお見合いのお相手(少し遅れている)を待つ慎之助と叔母。

芹橋慎之助「ホンマにええ人ですか?叔母さんのええ人てのも、、、」
今回、叔母はエラい自信満々。今日で見合いは打ち止めにしたいと考えていた(それは慎之助も同じ)。
落ち着かない慎之助は庭を散歩する。

小鳥がさえずる気持ちの良い日和(ここまでワンカット。まじで気持ちいい)。

と、御一行が到着。
会釈する慎之助はその中の1人に釘付けになる(一目惚れ)。
迎えに来た叔母に「気に入ったお見合い相手の特徴」を話すとそれはお見合い相手ではなく、「お遊さんといって粥川(かゆかわ)さんに片付いて(結婚)おいでのお静(お見合い相手)さんの義姉さんどすがな。間違うたらえらいことですがな。」と言われる。

和やかな雰囲気でお見合いは進んだ(ウグイスも鳴いてる。桜満開かな。まじで気持ちいい)。

お見合いは若い2人だけにし、叔母とお遊はお話。
叔母は慎之助がお遊をお見合い相手だと勘違いして一生懸命見てたんやそうですよと笑い話をする。

お遊一行御屋敷へご帰宅。
義兄(若旦那)に報告。
慎之助は凄く良い人でお静も気に入ったみたい(てかお遊が気に入ってる)。
そしてお遊はわざわざ地味な着物着てたのに自分を見合い相手だと勘違いしてたらしいとご機嫌で話し出したので、お静は面白くない顔をした。


一方。
慎之助はというと、お遊のことが忘れられず、叔母への返事(お静との縁談)を悩んでいた。
とりあえず、慎之助はお遊の屋敷へ行って商売ができるように話を通して欲しいとお願いする。
そんな会話の中で慎之助はお遊が未亡人だということを叔母から聞き、近々お琴の会があるという情報も入手する。


ということで。
慎之助は叔母とお琴の会へと足を運ぶ(未亡人で子持だろうが関係ない)。
琴を奏でるお遊のその姿(平安時代コスプレ)に撃ち抜かれてしまう慎之助(幼き頃に亡くなった母のイメージを重ねる)。

自宅へ戻り、慎之助は早速叔母にお遊と結婚したい!今日まで結婚しなかったのはその為だ!と言って困らせる(現実的には無理な話。跡取り息子もいるから、ずっと粥川家にいるのが普通。するなら駆け落ちくらいしかないが、冗談にも程があると釘を刺される)。


と、ある日の昼。
慎之助は町で座り込んでるお遊を発見。
近くの知り合い(お花のお師匠さん)宅で医者を呼び、看病した(軽い熱中症的?)。
休んで寝てるお遊に、団扇を扇ぐ慎之助はたまらずお遊にキスしようとするが、躊躇い、葛藤。その場から離れ、庭先へ。
それをお遊は気づいていた(起きていた)。
お遊は「今」目が覚めたフリをし、起き上がる。

お遊は慎之助の叔母から「お静との縁談を断る」と聞いたゆえ、慎之助邸へ話をするために、向かっていた途中だったようで。
お遊は慎之助に本心を尋ねるが、慎之助は黙ってしまう。
お遊は「お静をもろて欲しい。慎之助とならなんやかんやと助かるし、姉弟になれることが嬉しい。」と話し、慎之助は「お遊がそれで幸せになるなら」とお静との結婚を承諾してしまう。

縁談の話は進むが、親戚一同がちょっと待った!と言い出してると義兄がお遊に相談。
慎之助がちょっと遊び人的なのが問題だと。
が、お遊は「その位の方がいい」と答えた。
が、なんやかんやでお静もハッキリしない(喜んでいるが、お遊の慎之助に対する好意に戸惑ってる感じ)。
お静はお遊に背中を押される感じ(強引)で、結婚を決意する。


結婚式を終え、晴れて二人は結ばれた訳だが、お静は慎之助にいきなり頼み込む。

「形だけ嫁にしておいてください。義姉(お遊)を幸せにしてあげてください。」

慎之助は戸惑う。
お遊は今までお静の縁談をぶち壊してきた(妹を取られてしまい寂しくなるから)が、今回はノリノリ。
お静はお遊が慎之助にベタ惚れなのを察していたし、慎之助がお遊にベタ惚れなのも察していた。2人が幸せになるなら自分は犠牲になってもいいと泣き崩れた。
慎之助はそれ以上何も言えなかった。


奇妙な三角関係。
お静の前でも、慎之助とお遊はイチャイチャする(姉弟の関係以上)。
お店でもイチャつくもんだから茶屋女将に慎之助とお遊が夫婦だと間違われる。
毎日が楽しくご機嫌なお遊はお静に「今度女将が来たらイチャつきなさいよ。」とお静を押して、慎之助に引っ付けた。
と、お静がいきなりブチ切れて出て行ってしまう。

慎之助はお静の元へ行き「こんな状態はやっぱおかしい。」と泣き苦しむお静を気遣うが、お静の意思は硬かった。


次の日。
出先から戻ったお遊(いつもの如く慎之助とお静も一緒だったが、慎之助達は仕事へ戻る)。
と、1人息子(跡取り)が病に倒れており、すぐに亡くなってしまう。

お遊は里へ帰ることになる。
慎之助とあらぬ関係になっているようだと大旦那の耳に入り、追い出される的な状態。
実は伏見の造り酒屋(指折りの問屋)からの縁談があり、そこに嫁ぐことを義兄に勧められる(今まで通り贅沢な暮らしが約束されており、裕福な暮らししかしたことがないお遊にはうってつけ)。

慎之助の叔母も慎之助に「お遊との関係」について確かめにきた。が、慎之助は「ウソ(ただの噂)ですよ」と誤魔化した。


お静はお遊が「逆に自由(束縛からの解放)になれた」ことで、慎之助邸で3人で住もうと提案。
が、お遊は世間を気にし、断る。
が、お静は構わない(世間は無視)と答える。


翌日。
2人はお遊に付き、息子のお墓参り、金毘羅さんへのお参りへと出る。

宿屋にて、お静の慎之助に対する態度を不思議に感じたお遊は「何かを隠してるのでは?」とお静に尋ねる。
そして自分は造り酒屋に再婚の話がある事を打ち明ける。
お静は慎之助の元へ行き、お遊と結婚して欲しいと頼み込む。
お遊にも「慎之助とお遊は両思い&仮面夫婦大作戦」を打ち明ける。
それは違うと、お遊は慎之助に「今からでもお静と本物の夫婦になって欲しい。そうならないなら縁を切る。」と言って出て行った(そのまま宿を後にする)。
慎之助は何も答えられなかった。


翌日。
お遊は造り酒屋の縁談を受け入れると義兄に話し、慎之助夫婦とはもう合わないと言った(小袖をお静への形見として義兄に託す)。



時は流れ。
芹橋家は事業失敗。慎之助夫婦は東京で貧乏生活。
お静は子を宿すも、出産後すぐに死んでしまう(死に際に、慎之助を独り占めしたかったと無念を伝え、お遊からもらった小袖を羽織って亡くなる)。


お琴を楽しみ、優雅に暮らすお遊(が、旦那とはうまくいってない)。
と、赤子が泣く声が。
女中が赤子発見。
添えてある手紙の主は慎之助だった。
手紙を読んだお遊は泣き崩れたが「ええ子ができた。十五夜のお月さんがくださったのかもしれない。」と喜んだ。

その頃。
河原で満月を仰ぐ慎之助の姿があった。
そして草むらへと姿を消した。






というお話。
なんといってもやっぱ冒頭のお見合いシーンまでの素晴らしさかな。
作品全体にも「The和」なる美しいシーンはあるが、「The和スパーキング」なのはココかな。
コレって日本人だからこそ感じ取れる美しさなんだろうかな?

ストーリー的には、慎之助、お遊、お静の三者三様の「愛のカタチ」の行く末。
3人共に他人が優先。なんだけど実は自分の主張を押し通してるという矛盾が苦しみを生む。

美しい自然美とがんじがらめの人間社会との対比。
その相反する中にも「愛」という「欲望」は存在するが、自然界と人間界とでは「カタチ」が異なる。

あれこれ考えたり、我慢したり、嘘ついたり、泣いたり、と。
めんどくせーよな人間て。

そういうことに人間としての「美学」があるんだろうけど、それ「十五夜」に託すのはいいね。
美しく、儚く。
そして人間の命も。


PS
これがスランプ時?
うそだろ?
レベルは高いと思うけど、、、
まぁストーリーはそんなに好きではないけど、、、
アトミ

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