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ビッグ・リーガー Big LeaguerのTaiRaのレビュー・感想・評価

ビッグ・リーガー Big Leaguer(1953年製作の映画)
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アルドリッチの映画監督人生は野球で始まって女子プロレスで終わったのだな。

ジャイアンツのトライアウトを描いた青春スポーツ映画。メジャーリーガーを目指す18歳の青年たちがキャンプへやって来る。元選手の監督をエドワード・G・ロビンソンが演じる。彼は赤狩りで映画界を離れていたのを今作で復帰。アルドリッチらしい漢気のあるキャラクターを見事に体現していて素晴らしい。遺作にも出演したアルドリッチ映画常連俳優のリチャード・ジャッケルは今作から既に出演している。投手である彼が打球練習にも関わらず自身のピッチングを見せようと三振を取って行くギャグが微笑ましい。彼が最終審査手前で失格し去って行く場面が良い。監督のロビンソンに対し最後まで意地を見せるジャッケル、その彼越しにロビンソンを撮り「私はエラーをしたのかも」の台詞に合わせてカメラが90度移動すると画面奥の玄関を出て外に出たジャッケルの後ろ姿。カメラの動きはいくつか印象に残るものがあるし、フライ練習で球を打ち上げるロビンソンを斜めったショットで撮ったり、画面は瑞々しく躍動的。新人監督らしい活気が確かにある。ヴェラ=エレンの見送ったバスが停車し、降りて来たジェフ・リチャーズが駆け寄って来るショットは、エレンとバスを被らせる事で降車の画を見せないのが意外。一番泣けた展開は最後の試合でプロ野球選手の父と才能の無い息子の描写。息子のミスを見る度に落ち込んで行く父が最後には彼を認めて「建築士(志望)にしては野球上手いよ」と讃えてくれるとこ。選手たちを見送ったロビンソンの言葉も青春映画の終わりとして良い。挫折した後から人生の本番が始まる事、そして子供たちが生まれればそこから新しい青春が始まる事。野球をする子供たちの映像で映画は終わる。
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