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ラ・ラ・ランドのtomのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.5
前評判通りの良作です.
多くの方が4.0~4.5をつけるような,評価のぶれない作品だと感じました.
大衆に媚びているという意味ではなく,素直さがいいと感じました.

ここでは良い点のみ大きく2つ書いてみます.

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■1 構成と音楽

本作はハッキリとした場面転換をします.
起承転結が分かりやすくてよく,観賞した人となら誰とでも語り合える共通の話題になること請け合いです.

ハッキリとした起承転結という点からは古典的なクラシックの印象を受けますが,一方で本作のテーマはジャズです.
クラシックとジャズという,音楽のコントラストを想起させる点にも脇腹をくすぐられるような面白さがありますよね.

また,ミュージカルのシーンのインパクトを強く残したかったのだろうという監督の思惑を感じました.
本作のトレーラ (予告編映像) には特にミュージカルのシーンが多く盛り込まれています.
劇中でそれらがどこに現れるのかというと,ズバリ冒頭とラストです.
最初に鮮烈な印象を与え,最後にも印象づけるというテクニックの応用かなと思いました.

最後に,音楽の演奏に関しては同監督の前作「セッション」よりもこちらの方が断然いいです.
アテフリ (演奏してるフリ) が少ないためですね.
主演のライアン・ゴズリングの生ピアノは宣伝にもなりましたが,そのほかの楽器もいくつか生で演奏していると思いました.
ただ,打楽器のアテフリがところどころ気になります.
監督は打楽器が苦手なのかもしれません.
なのに前作「セッション」で,なぜいきなりドラムに挑戦したのか分かりませんね.
その点は次回作に期待というところでしょうか.

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■2 舌に残るほろ苦さ

これこそが本作のメッセージなのかもしれません.
現実はほろ苦いということなのでしょう.

本質に触れるためあまり書けません.
夢を追うことと夢を諦めることがどうだとか,本作の結末がどうなるかだとか.
ハッキリと映像に表れるので観れば分かると思います.

もう少しマイルドな表現としても表れるのがいいですね.
具体的には,本作の中盤,起承転結の「転」における,とある口論にも見られます.
そういった点が面白いと思いました.


そんな一作です.
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