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ラ・ラ・ランドのKANIOのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
5.0
正に”現代”を象徴する新しい世代のミュージカル映画。

『雨に唄えば』にしろ『サウンドオブミュージック』にしろ、過去のミュージカル映画を”現代に生きる人”達が観て、誰もが感性にビビッとくるかというと必ずしもそうでは無い。
映画は、移り変わる社会や文化と共に移り変わる”時のフォーマット”に合わせて常に更新され続けるべきであり、仮にひとつのジャンルで不朽の名作が生まれたとしても、”楽しい”は常に更新され続けるべきなんですよ。

様々な業界で”新しいモノ”が目紛しく生み出されていく現代において何かを作りたい人や表現したい人など「夢追い人」は後を断たない。
”自分の表現”を世に送り出す手段の幅は大きく広がったが、夢を叶え易くなった事で誰もがリスクを背負う事を強いられる時代となった今、本作こそがそこで必死に踠き夢を掴もうとする人々と、夢を掴んだ後も前に進み続ける人々に送る熱烈な応援歌なのだ。

個人的に、ジーン・ケリーやジュリー・アンドリュースのようなカリスマ的スターはミュージカル映画ではもう生まれないと思ってたんだけど、本作を観るとライアン・ゴズリングやエマ・ストーンだけでなく、スクリーンで歌って踊っているその誰もが煌びやかで格好良くて、あぁ”今っぽい”な…!と。

ロサンゼルスの街並み、場末のバー、主人公の自室。スクリーンに映し出される何気ないロケーションの何処もかしこが演劇としての”舞台装置”としての役割を果たしており、
いつの時代も映画こそが人々に”夢”を見させる舞台装置である事を思い出させてくれる。
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