みなみしま

ラ・ラ・ランドのみなみしまのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.0
抜群の色彩表現と巧みな言葉遊び。例えば、恋破れる秋はfall、キャストを勝ち取る冬はwin ter。圧倒的な冒頭はゴダールかロシュフォールか。ハリウッドへの中東資本の流入を仄めかすシーンもさりげない。物語としても、圧巻のラストはありえたかもしれない可能世界に魅せられながらも、それでもなお、それぞれの夢を追いかけるというど真ん中で優等生的なものになっている。いずれにせよ、ハリウッドの完全なるインサイダー映画であるがゆえに、アカデミー賞は確実だと思う。その一方で、このような夢にうつつを抜かしている間にトランプ政権が生まれるという、現実と虚構のあまりにも大きな乖離に若干の眩暈を覚えたこともたしかである。だが、思えば、ハリウッドとは外国人の集まりであった。その意味では、むしろ、これはハリウッドが製作する正統的なハリウッドミュージカル映画による、トランプ排外主義への異議申し立てになっているようにも見えてくるのが不思議である。