はぎはら

ラ・ラ・ランドのはぎはらのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
5.0
「LA LA LAND」は、映画の魔法が降り注ぐ国、そして何者かになろうとする若者たちの国です。

冒頭、渋滞中の高速道路で歌と踊りが繰り広げられます。きっとオーデションを受けて出演を勝ち取ったであろう、無名の俳優やダンサー、ミュージシャンンがたくさん登場します。
100人を超える若い俳優たちが、”夢を追い求める若者の物語”の幕開けを演じます。
渋滞に巻き込まれた主人公のセバスチャンとミアも、まだ何者でもない若者たちの一人に過ぎません。夢を掴み取ろうともがくものの、前に進む入口さえ見いだせない二人の立場を見事に表現しています。

ハリウッドを目指す本当にたくさんの若者たちのなかで、夢を実現させる人はほんの一握りにすぎません。どんなに努力しても、実を結ばない人がほとんどです。
主人公の二人も例外ではありません。人生は選択の連続です。何かを選びとることが、かけがえのないものを失うこともあります。
この映画は、それぞれの夢の最大の理解者である恋人たちが、お互いの夢を大切に考えて選び取った人生を描いています。

終盤のエピソードが胸に沁みます。自分の夢に誠実に、そしてお互いの夢を尊重した二人のその後・・・。
お互いが歩んできた人生を振り返るとき、すでに「LA LA LAND」の住人ではなくなっていることにお互いが気づきます。

気鋭の監督デイミアン・チャゼルが大学時代の友人である作曲家ジャスティン・ハーウィッツと組んで創り上げたミュージカルは、映画への敬愛と創作への情熱にあふれています。

「夢しか実現しない」という言葉を思い起こしました。苦しい時、落ち込んだ時に、励ましに満ちたこの映画をきっと思い出すでしょう。
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