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ラ・ラ・ランドのMASAYAのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.4
【Here's to the fools who dream】

素晴らしい作品でした。

女優志望のミアと、いつか自分のジャズの店を持つことが夢のジャズピアニスト、セブ。
夢を追う街ロサンゼルスを舞台に夢を追う二人を描いた傑作ミュージカルです。

こんなにも美しく、これほどまでに楽しい作品には滅多に出会えない気がします。

音楽、歌、ダンス、ストーリーの調和が完璧と言っても過言ではなく、問答無用で観ているものを魅了する力がありました。

チャゼル監督はジャック・ドゥミ監督の作品から影響を受けたと公言しているだけあって、『ロシュフォールの恋人たち』の心弾む“陽気さ”と『シェルブールの雨傘』の“切なさ”を兼ね合わせた作品だったと思います。
大渋滞からの「Another Day Of Sun」は『ロシュフォールの恋人たち』のオープニングを彷彿とさせますし、春夏秋冬ごとに小タイトルで区切ったり、後半のストーリーというのは『シェルブールの雨傘』に通じるところが多いと感じました。
衣装や美術がカラフル且つオシャレで、クラシックなのにどこか現代的なのも共通点かもしれません。
ただ上記2作はパステルカラー中心だったのに対し、本作はパッションカラーがメインとなっており、“夢”というテーマとパッション(情熱)のマッチングは見事でした。

あと『レイジング・ブル』のファイトシーンに倣ったカメラワークも素敵でしたね。
ボクシングのリングの中にカメラを置いたようにダンスの中にカメラを置くことによって、自分の周りで物語が繰り広げられているような印象を受けました。

また30~40年代のミュージカル作品を意識したような雰囲気のあるシーンが印象的でした。
紺桔梗と紅掛花色のグラデーションの夜空をバックにベンチに腰かける2人の姿は『踊らん哉』さながらですし、作品全体を通じての2人の関係性はフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのそれとそっくりです。

ストーリーに関してはこれまたスコセッシ監督の『ニューヨーク ニューヨーク』の大枠をなぞったものだったと思います。
セブのコンビシューズはデ・ニーロを意識したもにでしょう。

そして何といっても圧巻だったのはエッセンスがギュッと凝縮されたラスト10分ですよね。
個人的にはあのシークエンスにおいて、セブは今までは右腕に腕時計をしていたのに、あそこでは左腕にしているという演出にこの作品におけるメッセージ性の強さというものを痛感しました。

まさに極上のミュージカル・エンターテイメントです。

あの夢見心地をもう一度劇場で。


2017
2/25 2D @TOHOシネマズ新宿
3/7 2D @TOHOシネマズ六本木ヒルズ
3/15 Dolby-Atmos @TOHOシネマズ新宿
3/30 IMAX 2D @TOHOシネマズ新宿
9/30 ラ・ラ・ランド in Concert @パシフィコ横浜
12/7 爆音映画祭 @ユナイテッドシネマ・アクアシティお台場
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