ちよちよん

ラ・ラ・ランドのちよちよんのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.0
他者に認めてもらえない悔しさとか自分を信じきれなくなる弱さとか、そういった夢追い人の宿命、だけど華やかな夢を描いているひとだけではなく実はすべての人が一度はもがくであろう葛藤を描いた作品。報われない現実に焦点を当てると思っていたのに結局はハッピーエンドかって残念がっていたら、最後の10分で、現実ではあり得ないような、だけど実はとても現実的なラストを迎え、涙が止まらなかった。
「仕事はお前の代わりはいるけど大切な人にとってお前の代わりはいない」って言葉をよく聞くし、確かにその通りだと思っていたけど、大切な人だって実は代わりがいるのかもしれない。これはマイナスな意味ではなく、夢だって形が変わってしまうように、そしてその夢を案外受け入れて満たされるように、大切な人だって、もちろんかけがえのない一人ではあるんだけど、いつかはその人が思い出の一部になってしまうこともあると思う。どれだけ愛していても過去になってしまった人のことは、さみしいけれど悲しいことではない。今を生きる私たちは代わりに別の人と出会ってしまったら、それはもう薄情なんかじゃなくて、多分仕方のないことなんだと思う。かけがえのない、だけど変わりうる夢や大切な人、何を選ぶかは本当にその人次第で、人生はいつだって選択だ。
二人の恋はいい恋だった。人生が変わるような出会いを、恋を、だけどそれよりも諦めきれない夢を見つけたいし、見つけた彼らは最高に不幸せで幸せだと思う。